応募写真73

 

親父の唯一の教え

30年以上前に亡くなった親父は、何もかも豪快で破天荒な人だった。
あの世でも大暴れしていると思うが、お墓参りだけはきっちりと行い、お墓を磨きながら「先祖はちゃんと供養したらなあかんで!お前らもちゃんとするんやぞ!」と言っていた。
おととし、私も親父と同じ病で突然倒れたときには「こっちに来るのはまだ早いぞ!」とこの世に帰され、なんとか命が助かった。
そんな風に命拾いした私は、倒れて以来行けなかった高野山にあるお墓へと行く道中、親父のことを思い出していた。
親父やお袋が好きだった好物と、家で育てている高野槙を供え、手を合わせながら、親父の唯一の教えとも言える言葉を娘にもしっかりと伝えておいた。
まだ来るなって言うたから、もう少しこっちで精進して頑張ろうと思う。

追伸。いつもより気合いを入れてお墓は磨いておいたで!