応募写真66
出会えなかったけれど、大切なひとへ
母の日、風がやさしく吹く午後。
私たちは家族で、妻の母のお墓参りに訪れました。
私自身は、生前のお義母さんにお会いしたことがありません。
それでも、会話の中にたびたび登場するその存在は、私にとってもどこか身近に感じています。
この日、息子が墓石を一生懸命に磨いていました。
誰に言われたわけでもなく、ただまっすぐに、その姿がそこにありました。
その横には、赤と淡いピンクのカーネーション。
母の日に、感謝の気持ちをこめてお供えしたものです。
墓前に立ちながら、私はある想いを実感しました。
お墓という場所は、亡くなった方を偲ぶだけでなく、世代を超えて「ありがとう」と伝えることができる場所なのだと。
心のバトンが静かに手渡されていくのだと。
お義母さんへ。
あなたがこの世を去られてから、長い年月が経ちました。
私はあなたの娘と家庭を築き、今ではこんなに大きくなった孫が、あなたに手を合わせています。
あなたの教えや愛情は、きっと妻を通して私たちの生活の中に今も息づいているのでしょう。
どうか、これからも空の上から、変わらぬ愛で見守っていてください。
あなたの娘も、孫も、みんな笑顔で元気に暮らしていますよ。