応募写真86

 

ボクも手伝うよ

夏の盛りの暑い日でした。
東京から、母の実家がある東北地方へお墓参りに行った時の一コマです。
息子が歩けるようになって初めてのお参りでした。
もちろんお墓参りの意味も理解できない年齢なので、水を汲んだバケツと柄杓を見て、ただ遊びたい気持ちいっぱいになっていました。
周囲には他にお参りされている方の姿もなかったので、ちょっとお行儀が悪いと思いつつ、濡れてもいいように服を脱がせて、柄杓で水をくみ、お墓をきれいにしたり、花や植木にお水をあげることを教えました。
水がなくなり、「お水を汲んできて」と頼むと、「僕が行ってくるよ!」と言わんばかりに張り切ってバケツを持ち、水場に向かって駆け出していきました。
本人は、自分の曾祖父母や高祖父母が眠るお墓だということは分からず、ただ水遊びをしている感覚だったと思います。

それから時が経ち、また夏がやってきました。
小学生になった息子は、今なら少しはお墓参りの意味や、自分の親族が眠っている場所のことを理解できるでしょう。
もう裸になることはなく、お墓のお手入れを手伝えると思います。
でもまだ水遊びが好きな年頃。
また「お水を汲んできて」と頼んだら、きっと張り切ってバケツを持って走って行くに違いないと、そう思います。