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早く帰ってゲームしたい

その日、その時は、確かに存在した。
伝え行く訃報。もう、助からない。終わりを迎え、別れを告げる。
「みんなどうせ死ぬんだし」夢見がちな母が言う。
「よく今まで、生き抜いてくれました」父が言う。
「早く帰って、ゲームしたい」子らの意見みんな同じ気持ちだ。
本当は一瞬でも、こんな所には、居たくないといった風情。
夏休みもあとわずか。毎年行っている帰省も、今後はどうなるか、わからない。
日々を楽しんで、有意義に過ごすことも、今しかできないかもしれない。

そんな折、今宵揃った3世代は、各々の気持ちを大切に、育んでいた。確かに。
イベントは、好きだ。
帰省も大好きだ。
海にプールに、図書館に博物館、ラーメン屋に寿司屋。
まさに娯楽の殿堂である。
おばあちゃん家の猫、いつも新入りがいて、楽しみにしている。
今度、絵に描こうと思う。
何かしら自分のにおいがするものを、人は残したい気持ちに、なる。
地球温暖化や環境問題は、気になるけど、自分にもできることがあって、それを信じていきたいと、切に願う。

DNAは、近い。
ひいおばあちゃんと同じ病気になるのも、うなずける。
肝心のおじいちゃんは、もういない。
後半は、意思の疎通も怪しかった。
胃婁、つらいだろうな。

川には、たくさんの白鳥、寒い冬だった。
亡くなる半年前に病院を訪ねた。
おばあちゃんのことを、「なんてきれいな人だべ。僕と結婚してくれませんか?」と。
新幹線、電車、バスなど、移動手段は、格段に進化した現代、少しでも早く、そして、最後まで見届けたかった。

今でも、夢に見る。
おじいちゃんが、出てきたのは、今年のお盆で、三回目だ。
子らは3人共、不登校だったけど、今は、ちゃんとうまいことやってるよ。
お茶を送ったことがあるけど、ちゃんと飲んでくれたかな?
いつか迎える、自分の死のために、今、生きていると思う。
たくさんの子孫に、囲まれて、安らかに、ねむりたいと思う。